耳のどのような症状でお困りですか?
A 成人の場合は耳を掃除しすぎたり、さわりすぎたりして生じる外耳炎が多いです。時に耳だれが出たり、かゆくなったりもします。程度の強い場合は内服薬も必要になりますが、多くの場合、ご自分で軟膏を塗布していただくだけで治ります。ときにおできができている場合があり、膿を出したりする場合もあります。風邪が先行して耳が痛くなる際に、鼓膜の内側に炎症がおきる急性中耳炎もありますが、成人の場合は比較的少ないです。また鼓膜、外耳道に全く変化がなく、瞬間的に激しい痛みを自覚する場合は三叉神経痛があり、あと耳介帯状疱疹の初期も鋭い痛みが生じることがあります。
小児の場合は急性中耳炎が多いです。風邪を引いて、鼻汁、咳等が出ている状態で高熱が続き、耳の痛みを訴える場合はほとんどが急性中耳炎です。両側同時にかかることもあります。ひどくなると鼓膜の内側にたまっていた膿が鼓膜が破れて耳の外に出てくる場合があり、この状態になると数時間泣き続けるような痛みが生じます。当院では鼓膜の状態をきちんと把握した上で、そのときに必要な治療をきちんと行なうことをモットーにしております。内服薬での治療が中心ですが、場合によっては鼓膜切開で膿を排出するような方法も必要になります。とくに2才以下の保育園児の場合は、治ってはまた次の風邪をもらって中耳炎にまたかかるということを反復することがよくあります。成長とともに必ず回数は減ってきますので、親御さんに根気強くがんばっていただく必要があり、当院もそのようなご家族を極力サポートしたいと考えています。あと外耳炎も痛みの原因になりますが、成人ほど多くなく、ほかに耳下腺炎(おたふくかぜ含め)、顎関節炎等も耳の痛みとして症状を訴えることがあります。
A 成人の場合、小児の場合ともに外耳道や耳介部皮膚の湿疹が原因になっていることが多いです。成人の場合はこのかゆみを解消するために掻きすぎて外耳炎になったり、さらにはカビが増えてしまう外耳道真菌症になったりすることがあります。また1才以下の乳児は皮膚の表面の代謝が活発でかゆみが生じやすく、自分で掻きむしって皮膚表面から出血することもしばしばあります。爪をきちんと切ってあげることが大切です。成人も小児もこのような場合、基本的には皮膚の表面をきれいにして、適切な軟膏を塗布することが治療の中心になります。
A 耳介そのものが腫れる場合で最も多いのは、耳介血腫です。力士や柔道、ラグビーの選手で耳介が極端に変形しているのをご覧になったことがおありかと思いますが、あれはこの耳介血腫が反復して生じたために起こった症状です。スポーツ等で耳介に圧迫等の外力が加わった結果、耳介軟骨と軟骨膜の間に出血がおこり、その部がふくらみます。治療としては、たまった血液を皮膚を穿刺して抜くことをくりかえしますが、徐々にたまっている血液の量が減り、元々よりやや腫れた状態で治療終了になることが多いです。
A 成人の場合まず多いのが鼻と耳をつないでいる管(耳管)の調子が悪くなっておこる耳管狭窄症が多いです。風邪やそれに伴う副鼻腔炎がきっかけになることがよくあります。原因になっている疾患をきちんと治療し、耳管通気といって空気を鼻から鼓膜の内側に送り込む治療を行ないます。鼓膜の内側に水がたまっている状態になっていることもあり(滲出性中耳炎)、この場合はたまっている水を排液することも行ないます。次に多いのが低音部のみ急に聞こえが悪くなる急性低音障害型感音難聴という疾患で、片方の耳で生じることが多いです。聴力検査上すべての周波数で聴力が低下している状態だと「聞こえが悪くなった」と自覚するのですが、部分的に悪くなる場合は「耳が塞がったような感じがする」「耳に蓋をされたような感じがする」と訴えられることが多いです。内服薬で治療することが多く、基本的には元に戻ことがほとんどですが、これについては治療の開始が遅くなると(発症後2週間以上経過している場合)元に戻る確率が低下すると言われています。耳閉感が生じたときは放置せずになるべく早く受診してください。あと単純に耳垢がつまり過ぎていて(耳垢栓塞)耳がつまった感じがすることもよくあります。
小児の場合は急性中耳炎の初期であることが最も多いです。その次には耳垢栓塞、あと耳孔の中にプールや入浴で水が入ってそれが抜けない場合にも「耳がつまる」と訴えます。(外耳道異物)
A 成人の場合、なんの予兆も無く突然聞こえが悪くなることがあり、程度の強い場合は突発性難聴と診断されます。めまいを伴う場合もあり、また耳鳴りを伴う場合もあります。いかに早く治療を始めるかが、治癒率と大きな関係がありますので、このような際は様子を見ずに極力早く耳鼻科を受診してください。また70才以上の方で、何となく聞こえが悪くなっていることに気づいたという場合は加齢による変化(老人性難聴)の場合が多いです。が、これも年のせいと決めつけずに一度は耳鼻科で検査を受けてください。外耳道に耳垢が充満していたり、滲出性中耳炎であったりすることもあり、治療で良くなることがしばしばあります。小児の場合、難聴を自ら訴える場合は成人とちがって滲出性中耳炎であることがもっとも多いです。検査ができる年齢であれば、速やかに聴力を把握して、必要な治療を開始します。経過が年余に及ぶこともしばしばあります。学齢期以下の子供さんでは、突発性難聴は少ないですが、はしかやおたふくかぜ等のウイルス性疾患にかかった後、高度難聴になるケースがまれにあります。この場合子供さん自ら聞こえにくさを訴えることは少なく、学校の定期聴力検査で発見されたりすることがあります。おかしいと思ったらなるべく早く受診されることをお勧めします。耳垢がつまることによる難聴は少ないです。
A 子供さんの難聴の原因で一番多いケースがこれです。子供さんに難聴の自覚症状があれば親御さんも気づきやすいですが、何も言われないこともあり、学校での定期聴力検査で指摘され、耳鼻科受診ではじめて発見されるということもしばしばあります。鼓膜の内側に十分に空気が存在しないことで、この部が陰圧という状態になり、水がたまり、鼓膜の振動が悪くなって聴力低下が生じるというものです。基本的には急性中耳炎を繰り返していた子供さんに起こりやすく、幼児期には滲出性中耳炎、急性中耳炎を交互に延々反復し続けるということもしばしばあります。いつになったら治るかが気になりますが、成長が最も大きな因子で、ほとんどのケースが10歳になるまでに治癒します。が、中にはこの年齢に達しても滲出液が残存することもあり、癒着性中耳炎から中耳真珠腫というような経過を辿ることもありますので予断は許しません。場合によっては鼓膜の表面に換気チューブを留置したり、アデノイドを切除したりすることが必要になりますが、基本的に当院では決定的に悪くならない状態をキープし続けて、自然治癒に到達することを目標にしています。そのために当初は頻回の受診(週2回程度)や家庭での服薬をお願いすることがありますが、経過が安定してくれば週に1回、月に1回と通院回数は減り、飲み薬がいらなくなります。治療経過が長くなることがありますが、どうかご理解をいただき、個々の患者様、ご家族と一緒にこの疾患と向き合ってゆきたいと考えております。
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